「KAGETORA Fairy Tale」          「G−X」さん作



  『KAGETORA Fairy Tale』

Written & Produced by G―X


むかしむかし…
とある田舎の里に3匹の…じゃなかった、3人の忍者の兄弟が住んでいました。

1番上の志狼丸くんはアバウトでダイナミックでおおらか。
2番目の鷹王くんはクールで冷酷でにこやか。
末っ子の影虎くんは熱血で負けず嫌いでちょっとおバカ。

特に影虎くんはいつも兄2人からイジメ…もとい、可愛がられていましたとさ。

ある日、お父さんの天鷲さんは言いました。

天鷲:「お前達…忍びなんだから、そろそろ自分で家建てて暮らせ」

志狼丸:「わははっ、唐突だな 父上」

鷹王:「『忍びなんだから』ってのも変な理由だけどね」

影虎:「さっぱり意味がわからぬでござるよ…」

3人はとりあえず出かけました。

影虎:「よし!
    頑丈で立派な家を建てるでござるよ!」

鷹王:「低予算で、簡単で、そこそこ丈夫な物件がいいかな」

志狼丸:「住めりゃどこでもいいさ」

想いは様々でした。
3人は途中で道を分かれて、それぞれの道に進みました。
さて、どうなることやら?

* * *

志狼丸くんはワラの山を見つけて、寝っ転がっていました。

志狼丸:「さてと、どーすっかなー。
     ん? そういえばコレ…」

 :
 :

志狼丸:「はっはっはっ、30分で出来たぞ。
     ワラの家は楽だな。
     影虎と鷹王はどうしてっかなー?」

* * *

時 同じ頃、鷹王くんは…

鷹王:「風雷流忍法 鎌鼬!!」

ザン! ザンッ!!
 ズバ! ズバッ!!

鷹王:「よし、木材はこんなもんでいいだろ」

 :
 :

鷹王:「ふーん…。
    一晩で出来たにしては上出来だな。
    影虎はちゃんとやってるのか?」

* * *

一方、影虎くんはといえば…

せっ、せっ、せっ、せっ、せっ

影虎:「はぁ、はぁ…
    ぜぇっ、ぜぇっ…(汗)」

レンガを積み重ねて必死に家を建ててました。
もうすでに3日間建築しています。

影虎:「兄者や鷹兄には負けぬでござる〜!」

鷹王:「何をやってるんだ、お前は?」

影虎:「え? あ、鷹兄。
    もう家を建てるのは終わったのでござるか?」

鷹王:「とうの昔だ。
    それより何だコレは?」

影虎:「見ての通り家でござるよ。
    レンガを使って頑丈にしてるでござる」

鷹王:「ふーん。
    そんだけ苦労して建てといて、あっさり壊れたら悲しいよな…」

影虎:「だから、何故そんなことばかり言うのでござるか!?」

鷹王:「愚弟に忠告してやろうという兄の気持ちがわからないかな? ん?」

ぐに〜〜〜〜〜〜〜っ

鷹王くんは影虎くんの頬を引っ張ってます。
お決まりのお仕置きらしいです。

影虎:「あだだだだっ!
    それはやめるでござるよーっ!」

* * *

鷹王:「それじゃあな」

影虎:「やっと帰った…。
    よし! 頑張るでござる!!」

影虎くんは2週間かけて砦のようなレンガの家を建てました。

* * *

3人の家も完成して、それぞれ平和に暮らしていました。
しかし!
ある日、志狼丸くんのワラの家にケモノの影が…。
そう、狼です。

狼:「ウオンッ!」

志狼丸:「ん?」

狼:「ウォンッ!
   へっ へっ へっ」

あれ?
どうやら襲いに来たのではないようですヨ。

志狼丸:「どした、お前?
     ハラ減ってんのか?」

狼:「くぅーん」

志狼丸:「よっしゃ、ちょっと待ってろ。


     ほれ、母上のおはぎだ。
     食うか?」

狼:「ウオン!!」

パク パク パク

志狼丸:「美味いか? よしよし」

狼:「ウォーン!
   わふ わふ わふ」

すっかり志狼丸くんになついたようです。

志狼丸:「そうだ。
     お前、俺の忍狼にならないか?」

狼:「ウオンッ!!」

志狼丸:「よしッ!
     今からお前の名前は…那智だ!」

こうして志狼丸くんに忍狼の那智が仲間になりました。

* * *

影虎:「何かないでござるかな〜?」

影虎くんは、食べ物を探す為、山の中を歩いていました。

影虎:「ん…?
    何でござるかコレは?」

普通のスギやヒノキの木ばかり生えてる林の中なのに、何故か“竹”が生えているではありませんか。
しかも、1本だけ。
さらに、その竹の一部がチカチカ点滅してるという、どう見ても不自然な光景。

影虎:「何なのでござろう?この竹は。
    ほっとくべきなのか…はたまた…」

  コンコン

影虎くんは点滅してる部分を軽く叩いてみました。

  コンコン

影虎:「!?」

すると竹の中から応えてきたのです。
まるでトイレでやる『入ってまーす』のノックばりにリズミカルに。

影虎くんは、とりあえず中に何かあるらしい、と思ったらしく、竹を斬ってみることにしました。

影虎:「哈ッ!!」

スパァッ!!

竹は見事にまっ二つ。
中を除いてみると、そこには………!




影虎:「………猿………?」

中にいたのは小柄な猿だったのです。

猿:「ウキ」[あー、暑かった。ありがとね]

影虎:「は、はあ…」

しかも、どこから出したのか、板を使って話し始めたではありませんか。
影虎くんも少し引いてます。

影虎:「お主、一体何者でござる?」

猿:「キッキ」[竹から産まれた忍猿――― その名も小助だ]

影虎:「……お主、忍猿なのでござるか?」

小助:「キー」[いかにも]

影虎:「いや、それ以前に…… 何故竹の中に?」

小助:「ウキキ」[企業秘密]

影虎:「企業秘密…。
    ツッコミどころ満載だが、まぁいいとするか」

多分、作者の都合ですね。

小助:「ウキーキッキ?」[ところで、出してもらった礼と言ってはなんだが、
             優秀なお目付け役はいらないか?]

影虎:「……はい?」

小助:「キ」[食べ物とかもすぐに採ってきてやれるぞ]

影虎:「本当でござるか?」

小助:「ウキー」[今なら手数料無料。
         あらゆるところでサポートするぞ]

影虎:「ふむ。 それならば頼んでみるか。
    引っ掛かるところはあるが…」

小助:「キキーッ」[契約成立だな]

影虎:「よろしく頼むでござるよ、小助。
    拙者の名は風雷の影虎でござる」

こうして影虎くんには忍猿の小助が仲間になりました。

* * *

鷹:「ピィイッ!」

鷹王:「ん……?」

鷹王くんが何やら怪しげな本を読んでると、突然空から泣き声が。
何かと思って見上げてみると、そこには大きな鳥が…
どうやら鷹のようです。

鷹王:「何か鬱陶しいな… フッ!!」

鷹王くんは何の迷いもなく鷹に吹き矢を吹きました。
しかも、見事に命中。

もちろん、鷹はあっさりと落ちてきました。

鷹王:「何なんだ コイツは? ん……?」

その鷹は手紙のようなものを持っていたのです。
鷹王くんはそれを広げて読んでみました。

ガサガサ

鷹王:「なになに… これは…?」

* * *

影虎:「いや、いいでござるから…」

朔弥:「そう言わんと買ってみいや! 持ってて損はせんやろ?」

影虎:「火なら自分で起こせるし、リンゴも自分で採ってこれるでござるよ」

朔弥:「いけずやなぁ。

    せやけど、『リンゴとマッチ売りの朔弥』の名にかけてあきらめんよ!!
    今度来たときは絶対買わせたる!!」

    どうやら影虎くんは押し売りに遭ってたようです。

影虎:「ふー。やっと帰った」

バッサ バッサ  ゴンッ!!

影虎:「あいた!! な、何でござるか!?」

突然、影虎くんの後頭部に衝撃が。
振り返ると、そこにはあの鷹が。

影虎:「何者でござるか、お主!?」

影虎くんは苦無(くない)を構えました。

鷹:「ピィッ!」

クイ クイ

鷹はクチバシで首についてる何かを指しています。

影虎:「何でござるか、それは?」

見てみると、どうやら手紙のようです。

影虎:「鷹兄から? なになに…」

『影虎へ

  父上から任務の連絡が来た。
  藤堂家の次代御当主・藤堂由姫様が鬼にさらわれてしまったそうだ。
  鬼と姫様は“地獄坂”(じごくざか)にいるらしい。
  そこで、俺と兄者とお前の3人で姫様を助け出して来い、と言っている。

  ちなみに、その鷹は父上が俺に連絡用によこした鷹で、俺の忍鷹(にんよう)に決まった。
  名前は神楽だ。

  兄者にも伝えてある。

  明日の午(うま)の刻に、竜ヶ谷に集合だ
                                   鷹王』


影虎:「えぇえっ!?
    これは一大事でござるよ!! よし、すぐに支度するでござる!!」

影虎くんは大慌て。
神楽は用が済んだらさっさと帰ってしまいました。

影虎:「しかし…… 何故 地獄坂?」

* * *

★G―Xの一口メモ☆

どーも、読者の皆さん!
少しだけ話に参加させていただきました!

さて、鷹王の手紙に出てきた“地獄坂”何ですが…。
これは、北海道小樽市に実在する坂です。
通称ではなく、本当にこういう地名があるのです。
約1.5kmの急で長い坂道で、観光地のひとつらしいです。
実際に見たことはありませんけど。
もちろん鬼はいません(当たり前)。

それと、“午の刻”とは、だいたい午後0時前後のことです。

それでは、続きをどうぞ〜♪

* * *

――翌日・午の刻――

――地獄坂――

鷹王:「遅いぞ影虎」

影虎:「すまぬでござるよ。
    あれ? 兄者、その狼は?」

志狼丸:「ああ、俺の忍狼・那智だ。
     色々あって、仲間になった。
     そういうお前こそ、肩にのってるそいつは?」

志狼丸くんと那智のやりとりは、色々と言えるのでしょうか?
一言で説明できそうですけど。

影虎:「ああ、忍猿の小助でござるよ。
    ……って、あれ? 小助?」

小助:「キ―――――――――――――ッ!!!」

那智:「ウオンッ!!!」

那智が小助を追い掛け回しています。

志狼丸:「よかったなー、那智。
     ダチができて」

影虎:「拙者には小助が食われかけてるようにしか見えぬでござるよ」

鷹王:「兄者、影虎、そんなことより早く地獄坂に行くぞ」

志狼丸:「おっと、そうだったな」

影虎:「姫を救い出さねば!!」

* * *

――地獄坂へ向かう道のり――

鷹王:「地獄坂まではフェリー… じゃない、船で行ったがいいだろう」

志狼丸:「そうだな」

影虎:「ところで、猿・狼・鷹……
    こんなシチュエーションどこかで聞いた憶えがあるでござるな」

というワケで3人+3匹は港に行って船を探しました。

志狼丸:「『レンタル船会社・九条エンタープライズ』。
     ここにするか」

そこにヤンキーらしき船頭の社員が来て、言いました。

九条:「お客さん。
    もう、2つしか船 残ってねえんだけど」

影虎:「どんな船があるのでござるか?」

九条:「大きめ木の船と小さめ泥の船。
    どっちがいい?」

風間3兄弟:「「「木の船」」」

九条:「即答か・・・。そりゃそうだよな」

こうして船をレンタルして3人+3匹は出航。

* * *

――地獄坂 到着――

影虎:「長い坂でござるな」

志狼丸:「どうやら、この坂を登りきったとこにユキ姫がいるらしいな」

鷹王:「敵がいつ、どこから攻めてくるかわからないからな。
    油断するなよ」

スタ スタ スタ

バババッ!!

3人が歩いていると、坂の横から鬼が!!

小野:「この先は!」

上条:「小野・上条・生駒 鬼トリオが!」

生駒:「通さな…!」


ドカン!! ×3


志狼丸:「さー、先に進むか」

鬼トリオはあっさり倒されてしまいました。

小野:「戦闘シーン 1行で終わりかよ・・・(泣)」

上条:「本編じゃ活躍できないから、頑張って出演したのに・・・(涙)」

生駒:「俺、まだ喋ってる途中だったのによ〜 (T_T)」

* * *

影虎:「やけに弱い鬼でござったな」

志狼丸:「まぁ、最初はあんなもんだろ」

鷹王:「む? 何だアレは?」

坂の先にはお嬢様のような格好をした、女の子がイスに座って紅茶を飲んでました。
一応鬼のようです。

冷泉院:「あら、いらっしゃったようですわね」

影虎:「お主も鬼でござるか?」

冷泉院:「はい。第2の鬼・冷泉院 皐月と申します」

鷹王:「なら、そこをどいてくれ…… といっても無駄か?」

鷹王くんはあくまで冷静に分析。

冷泉院:「無駄みたいですね。
     ボディーガードの皆さーん!」

ズラッ!!

すると、今度は黒いスーツに黒メガネをかけた男達が1000人ほど出てきました。

冷泉院:「あ、なるべく怪我させないように捕まえてくださいねー。
     特に、あのござる言葉の方は」


志狼丸:「あの鬼、お前のこと気に入ったみたいだぞ、影虎」

影虎:「いや、そんなこと言われても…
    って、それどころじゃないでござるよ!!」

鷹王:「そうだな、行くか」


志狼丸:「風雷流忍法 地雷震!!」

鷹王:「風雷流忍法 火竜旋!!」

影虎:「風雷流忍法 雷獣吼!!」

小助:「キキーッ!!」[風雷流忍法 飛猿撃!!]

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!

 :
 :
   

3人+3匹は、バッタバッタと、ちぎっては投げ、そして・・・

バキィッ!!

影虎:「ふぅっ、これで全員でござるな」

志狼丸:「わはは、なかなか手応えのある戦いだった。1000人はな」

冷泉院:「あらあら… みんなやられてしまいましたわ。
     みなさんお強いですね」

ブロロロロロ キッ!

すると、どこからともなく黒塗りのフルスモークのベンツが現れました。

執事:「皐月お嬢様、お迎えに上がりました」

冷泉院:「じい。
     そうですわね、今日は帰りましょう。
     影虎さん、今度は2人っきりでお会いしましょうね」

そう言うと、冷泉院さんはベンツに乗って去ってしまいました。

影虎:「なんだったのでござるか、アレは?」

* * *

そして、とうとう坂を登りきると、そこには・・・

桐谷:「よくここまで来たな!! だが、これまでだ!!
    この鬼のボス・桐谷 秋乃がブッ飛ばしてやんぜ!!」

そこにいたのは、棍棒ではなく、何故か鉄パイプを持った女の鬼がいました。
しかし、ラスボスだけあって、どうやら今までの鬼より遥かに強そうです。

志狼丸:「おおっ、今度のは強そうだな」

鷹王:「でも、今回は1人か。
    戦いは一対一が基本だからな・・・
    よし、影虎 お前行け」

鷹王くんは影虎くんを先鋒に指名しました。

影虎:「えっ!? 拙者!?」

鷹王:「大丈夫だ、お前がやられても次がいる」

影虎:「拙者は負けぬでござるよッ!!」

鷹王:「ほお? じゃあ、行くんだな。
    さあ、暴れて来い」

影虎:「あ・・・(しまった、のせられた)」

桐谷:「誰でもいいからさっさと来い!!」

影虎:「しかたないでござるな〜」

しぶしぶ影虎くんは戦うことにしました。

影虎:「風雷の影虎 参る!!」

ガキィイイ――――――――――ン!!

鉄パイプと忍者刀がぶつかり合う!

桐谷:「なかなかやるな・・・」

影虎:「(こ… こやつできる)」

ガキン! ガキン!!

火花が飛び散る激戦!

影虎:「風雷流忍法 蜘蛛絡み!!」

シュッ!!

桐谷:「!?」

影虎くんの糸が鉄パイプに絡みついた!

グンッ!!

桐谷さんの手から鉄パイプが離れた!

影虎:「覚悟!!」

スパ―――――――――ンッ!!

影虎:「!?」

すると、今度はいつの間に出したのか、ハリセンで影虎くんの刀を握ってる手をはたいた!
影虎くんの刀も手から離れる!

桐谷:「まだまだぁ!!」

影虎:「拙者もでござる!!」

 :
 :

影虎:「はぁっ、はぁっ・・・」

桐谷:「ぜぇっ、ぜぇっ・・・」

激闘に継ぐ激闘、両者スタミナはなくなりつつあるようです。

??:「秋ちゃん、もうやめようよ〜」

影虎:「えっ?」

突然の声に驚いて、2人共声の方に顔を向けました。

桐谷:「由姫、でもさ・・・」

由姫:「ううん、私 もう十分楽しかったから。
    それにその人達だって悪い人じゃなさそうだし」

その瞬間、影虎くんと由姫さんの眼がカチリと合いました。

影虎:「!!!」

そして、影虎くんは何か衝撃を受けています。

桐谷:「そっか、由姫がそう言うんだったら」

志狼丸:「おい、影虎? 何ボーッとしてんだ?」

影虎:「・・・・・・はっ?」

やっと我に返ったようです。

影虎:「いや、何でもないでござるよ。
    えっと…それより、一体どういうことでござるか、コレは?」


* * *

由姫:「皆さん、お騒がせしました」

ぺこっ

志狼丸:「いえいえ、ユキ姫。
     無事ならそれでよかったです」

話したところ、由姫さんはさらわれたのではなく、藤堂家の姫としての毎日が退屈だったので、
友達の桐谷さんと遊びたかっただけ、ということでした。

鷹王:「では、姫様。
    御当主も心配しておりますので、帰りましょう」

影虎:「鷹兄の口上 堅・・・ あいだだだだっ!!」

鷹王:「失礼なこと言うのはこの口か?」

ぐに〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ

今回2回目。

桐谷:「じゃあな由姫。 また遊びに来いよ」

由姫:「うん。
    またね、秋ちゃん」

こうして風間3兄弟と由姫さんは地獄谷を去りました。


* * *

――数日後――

影虎:「はぁ・・・」

あの後、由姫さんは無事藤堂家に戻って、3兄弟は御当主から報酬として
1人10両(約50万)をもらって、ワラ・木・レンガの家に帰って来ました。
しかし、影虎くんは・・・

影虎:「姫・・・」

どうやら、由姫さんに恋してしまったようです。

由姫さんのことを想ってるのか、お茶を飲んで何やら黄昏てます。

小助:「ウキッ?」[どうした影虎? 何か暗いぞ?]

影虎:「小助。
    いや、猿にはわからぬ悩みでござるよ…」

小助:「キキッ」[ひどっ]

影虎:「さて、こんなこと考えてても仕方ない。
    小助、食料を取りに行くでござる・・・ あっ!!」

影虎くんの手からお茶を飲んでた湯呑みがすべり落ちました。

コロコロ・・・ ボチャン!

影虎:「ああっ! 湯呑みが」

湯呑みは転がってレンガの家の近くにあった湖に落ちてしまいました。

影虎:「まいったでござるな…」

影虎くんは湖に近寄りました。
すると・・・!

ザバァッ!!

影虎:「!?」

なんと、湖の中から白い着物を着た綺麗な女の人が現れたではありませんか。

巴:「あら、驚かせちゃってごめんなさいね」

影虎:「は、はぁ・・・ あの、そなたは?」

巴:「初めまして。 私は湖の女神・巴。
   なんて、自分で言ってて恥ずかしいわね、女神なんて」

影虎:「巴殿でござるか。
    拙者は風雷の影虎と申しまする。
    あ、ところで今 この湖に湯呑みを落としてしまったのでござるが…」

巴:「ええ、そうみたいね。
   影虎くん、キミが落としたのは、
   金の湯呑み? 銀の湯呑み? それともダイヤの湯呑み?」

影虎:「え? いや、拙者が落としたのはそのどれでもなく普通の湯呑みなのでござるが…」

巴:「(くすっ)キミは正直者ね。
   はい、湯呑み」

影虎:「忝い」

影虎くんは普通の湯呑みを返してもらいました。

巴:「実はね、影虎くん。
   キミみたいに正直に答えたいい子には1つだけ願いを叶えてあげられることになってるの」

影虎:「え? 願いを?」

巴:「ええ、どんな願いも1つだけ叶えてあげるわ。
   キミの願いを言ってみて」

影虎:「(拙者の… 願い…
             ……!!)」

影虎:「では、巴殿。
    拙者を、藤堂家の姫である、藤堂由姫殿の“お役目”にしてくだされ!!」

巴:「“お役目”に?
   変わったお願いね」

影虎:「拙者は、あの姫のそばにいたいのでござる」

巴:「わかったわ。 願いを叶えてあげる。
   哈ッ!!」

影虎:「うおっ!?」

影虎くんの意識が遠のいていく。

影虎:「……はっ!」

眼を覚ますと、そこにはもう誰もいませんでした。

影虎:「夢だったのか?
    いや、そんなはずは…」

湯呑みはしっかり握ってます。

影虎:「??」

影虎くんが首をひねってると、どこかで聞いた音が。

バッサ バッサ  ゴンッ!!

影虎:「あいた!!」

そしてまた突然、影虎くんの後頭部に衝撃が。
振り返ると、もちろんそこには神楽が。

影虎:「いつもいつも何なのでござるか〜!?」

神楽:「ピィッ!」

クイ クイ

影虎:「また鷹兄から呼び出しでござるか?」

影虎くんが手紙を広げると、そこには……!!

* * *

――数日後――

――藤堂家――

由姫:「……ん〜〜〜っ……。
    あ、おはよー 影虎」

影虎:「姫。
    おはようでござる」

そう、あの手紙には影虎くんを由姫さんの“お役目”に任命する、という内容が書かれていたのです。
どうやら、地獄坂での戦いが評価されたようです。

藤堂邸では平和で幸せなな々を送ってる2人の姿が…。

メデタシ♪ メデタシ♪


 〜END〜



―――あとがき―――

G―X:「こんにちは、皆さん!
     G―Xです!!」

由姫:「今回のゲスト、藤堂由姫です!」

G―X:「はい、来てくれてありがとうございます。
     よろしくお願いします、由姫さん」

由姫:「今回は私、出番少なかったな〜」

G―X:「ごめんなさい、由姫さん。
     でも、最後は影虎さんとハッピーエンドだから、勘弁してください」

由姫:「はーい。
    それで、今回の『KAGETORA Fairy Tale』―――
    『KAGETORA おとぎ話』はどういったコンセプトなんですか?」

G―X:「うーん、コンセプトというよりかは、ギャグですね」

由姫:「ギャグ…」

G―X:「有名な昔話、おとぎ話をネタにしてみたら、みんなハマっててビックリだったので、
     そういう世界で由姫さん達を動かしてみました」

由姫:「私、いつもとあんまり変わらなかった気がするんですけど…」

G―X:「う゛。 す、すいません。
     でも今回のメインは風間3兄弟だったので・・・
     次回からは由姫さんにも活躍の場を作るようにしますから」

由姫:「そうなるようにしてください。
    じゃあ、次回作は決まってるんですか?」

由姫:「はい、ほぼ決まってます。
    読者の皆さん、待っててください!」

由姫:「今回、難しかったこととかは?」

G―X:「ん〜〜〜、アクション……ですね」

由姫:「影虎と秋ちゃんの?」

G―X:「そう。 文章だけで説明するのは困難を極めました。
     と言っても、大幅にカットしてますけどね。
     これから修行していきます」

由姫:「頑張ってください!
    私も強くなるぞォ!!」

G―X:「はい!
     それではこの辺で…。

     『KAGETORA Fairy Tale』読んでくださってありがとうございました。
     感想・リクエストは掲示板の方へお願いします。

     今回のゲストはヒロイン・由姫さんでした」

由姫:「読者の皆さん、読んでくれてありがとうございます!

    影虎が心配しちゃうから、帰らなきゃ… 失礼しまーす!!」

G―X:「これからもどうぞよろしくお願いいたします!」

由姫:「いたしまーす!」



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