影虎達は8巻辺りの高3という設定です。
* * * …このアスタリスク3つは場面の移り変わりのカットだと思ってください
[ ]…この中に入ってる台詞は小助が話すときに使う板の台詞だと思ってください
それでは、KAGETORA二次小説ご覧ください。
『一日。』
Written & Produced by G―X
――東京・藤堂家――
――離れ――
チチ… チュンチュン…
影虎:「ん… 朝でござるか…。
ふあ…」
小助:「キ…」
のび〜〜〜〜〜 ×2
影虎:「ふむ。
今日もいい日和でござるなー。
なぁ、小助」
小助:「ウキ」[そうだな]
影虎:「よし!
姫が起きるまでの間に修行するでござる!」
小助:「キッ!」
* * *
キィーン!
影虎:「はッ!」
拙者の名は風雷の影虎。
見てのとおり(…って、小説じゃ見れないでござるな)、忍びでござる。
その忍びが何故東京にいるのかというと、風雷の忍びが仕える、藤堂宗家の御当主と、
風雷の里の頭領の命により「お役目」という使命を果たす為なのだ。
そのお役目というのは、
藤堂家の次期当主である姫――藤堂由姫殿の“武術指南役”なのだが、
その姫が極度の運動オンチときていて、かなり難儀しているのでござる。
影虎:「はぁッ!」
ガキン! キィンッ! キキキィインッ!
ただし、腕が鈍る故 こうして修行するのは欠かせない。
影虎:「ふぅ…。
よし、この辺にしておくでござるか」
由姫:「……ん〜〜〜っ……。
あ、おはよー 影虎」
影虎:「姫。
おはようでござる」
由姫:「小助もおはよ」
小助:「キッ」[おはようございます]
由姫:「朝から修行?」
影虎:「はい。
拙者も怠けると腕が鈍る故」
由姫:「すごいねー」
影虎:「まぁ、拙者これでも忍びでござるし」
* * *
由姫:「じゃあ お母さん、行ってきまーす」
影虎:「行って参り申す、御当主」
由姫:「ええ、行ってらっしゃい。
影虎、頼みましたよ」
影虎:「御意」
朝の支度を済ませた後、拙者と姫が通う、都立 東雲高校に向かうでござる。
由姫:「ねぇ 影虎ー。
今日の稽古は何やるの?」
影虎:「んー…そうでござるな。
昨日まで薙刀でござったから、今日は剣術にいたそうと思ってるでござるが――…
いかがでござろう?」
由姫:「うん、私はそれでいいよ」
影虎:「最近は、段々と上達してきてるでござるよ」
由姫:「ホント!?
よかった、うれしーー。
影虎のお陰かな」
影虎:「いえ、そんな…
拙者まだまだ未熟者でござるし…」
こうも笑顔で喜ばれて、しかも誉められると気恥ずかしいでござるよ…。
由姫:「影虎、どうかした?
顔 赤いよ?」
影虎:「いっ、いや!
なんでもないでござるよ!」
平常心、平常心でござる。
由姫:「そう?
なんかますます赤くなってる気がするけど…」
* * *
――東雲高校 3年E組――
教室に到着でござる。
さっきから誰に説明してるのでござろうか、拙者は?
桐谷:「あ。おはよ、由姫 影虎」
由姫:「おはよー、秋ちゃん」
影虎:「おはようでござる、桐谷」
クラスメートの桐谷秋乃に挨拶して、机に座るでござる。
キーン コーン カーン コーン
「起立、礼!」
* * *
さて、授業が始まる。
1限目は現国、2限目は化学なのだが… 3限目は英語なのでござるよ。
まぁ他の教科は別に苦ではないのでござるが、どうにもなー。
しかも英語はほとんど毎日1限はあるから大変でござる。
「Many items of information find their way… most are discarded, and…」
あ〜…、ついていくだけでもやっとでござるよ〜。
* * *
由姫:「影虎 大丈夫?」
影虎:「正直キツいでござる…」
由姫:「わからないとこがあったら、また私が教えてあげるからね」
影虎:「忝い」
何やら居た堪れぬでござるな。
小野:「はっはっはっ。
いやー、でも影虎にも俺達より劣ってる部分があるんだなー。
ちょっとホッとした。
影虎も人間だったんだなぁ」
影虎:「当たり前でござろう、小野。
どう思われてるんだ拙者は…」
何か、こやつに言われると釈然とせぬな。
* * *
キーン コーン カーン コーン
昼休みでござる。
影虎:「姫、昼食は如何なされるおつもりで?」
由姫:「教室でお弁当。秋ちゃんと」
桐谷:「ちなみに、アタシはコンビニのパンな」
影虎:「左様でござるか。
拙者は学食でござる故…」
由姫:「うん、わかった。
行ってらっしゃい」
影虎:「はい。
では、後程」
拙者は小野・上条・生駒のトリオと学食に向かうでござる。
都立に学食があるのは珍しいらしい。
小野:「それにしても、影虎ってホント和食しか注文しないな」
小野はカレー、上条はチャーハン、生駒はスパゲッティ、とやらを注文して食べてるでござる。
一方、拙者は和風のB定食。
影虎:「どうも異国の料理は口に合わぬでござるよ」
生駒:「時代の流れに逆らってるぞ、それ」
上条:「多分、アイスも抹茶しか食べないタイプだろ」
影虎:「まあ、そうだが…。
でも少しずつ順応はしてるでござるよ」
* * *
5限目は体育。
まあ、拙者には楽な教科でござるな。
しかし、男女分かれる故、姫のことが気になるでござる。
体育教師:「男子集合!
えー、今日の体育はソフトボールの試合をやる。
各チーム、ケガしないように気をつけること!」
というワケで、ソフトボールとやらで拙者はセンターという位置に置かれたでござる。
要は、打たれて飛んできたボールを捕って投げればいいらしい。
しかし、あまり飛んでこないでござるな…。
影虎:「…ん? 女子は短距離走でござるか」
見たところ100mでござろうか?
* * *
体育教師:「……次、桐谷!」
桐谷:「よっしゃ!」
体育教師:「よーい… スタート!」
桐谷:「ウオラァッ!!」
ズドドドドドドド!!! ……ピッ!
「じゅ…11秒92!?」
由姫と桐谷を除くクラス全員:『えぇええ―――――ッ!!』
由姫:「わー… 秋ちゃん、すごいなー」
桐谷:「フッ、ちょろい」
※2002年現在で女子100mの高校記録は11秒62だそうです。
(G―X)
* * *
何やら女子の方が騒いでるでござるな。
今 走ってたのは桐谷のようだが… 拙者が見ても尋常な速さじゃないな。
カキィ―――――ン!!
おっと、やっとボールが飛んできたでござる!
影虎:「はぁああッ!」
シュタタタタタタタ!!!
スタンッ! バシッ!
影虎・小野・上条・生駒を除くクラス全員:
『何ィイイ―――――ッ!?
ホームランのはずの打球をフェンスより高く跳んで捕ったぞ!!』
小野:「さすが忍者…」
上条:「プロでも多分できないよな、あんなの」
生駒:「どういう修行したら、ああなるんだろうな…」
* * *
桐谷:「何かヤロー共の方が騒いでんな」
由姫:「うん。どうしたのかな?」
桐谷:「大方、影虎がまた何かやらかしたんだろ。
ホラ、由姫 次だろ?」
由姫:「あ、うん」
体育教師:「……次、藤堂!」
由姫:「はいっ!
よーし、頑張るぞぉー」
お、姫の番でござるか。
気合い入ってるでござるなー。
体育教師:「よーい… スタート!」
タタタタタタ… ガッ!
由姫:「わっ… わわわわ!」
グラッ…
影虎:「!!」
姫、危ない!
影虎:「風雷流 忍法―― 旋風!!」
ゴオォオォオォオオオオオッ!!!
『わ――――――――――――――――――っ!
きゃ―――――――――――――――――っ!
ひ―――――――――――――――――っ!』
(影虎・由姫・桐谷を除く全員)
ふわっ… ヒュン!
スタッ
間一発で受けとめたでござる。
影虎:「姫、ご無事でござるか!?」
由姫:「影虎。
うん、私は大丈夫だけど……」
影虎:「あ」
大惨事。
これはまた見事なまでの地獄絵図でござるなー。
って、そうじゃなくて!
影虎:「みんなすまぬでござるよ〜!」
つい忍法を使ってしまった。
でも、姫を助ける為でござるから仕方ないか。
生駒:「いや、もう慣れてるから大したことないけど」
上条:「何か久々だな、このパターン」
小野:「まぁ、仕方ないか、忍者だし」
桐谷:「後で一発キツいの入れとくか…(怒)」
でも大丈夫そうだな。
桐谷だけは飛ばされずに踏みとどまったらしい。
由姫:「でも ありがとね、影虎」
* * *
キーン コーン…
放課後でござる。
うーむ、今日も何事も…あったでござるな。
由姫:「秋ちゃん、今日も部活?」
桐谷:「ああ。
大会近いし、部員全員気合い入ってんからな」
影虎:「頑張るでござるなー」
由姫:「ねー」
桐谷:「これでも剣道部副部長だからな。
由姫は帰るのか?」
由姫:「うん。私もこれから稽古」
桐谷:「そっか。由姫も頑張れよ」
由姫:「うんっ!」
影虎:「拙者がしっかりと指南いたすでござるよ!」
桐谷:「それはどうなのかね」
影虎:「失敬な…」
こやつ、もしや未だに拙者のこと認めてないのでござるか?
桐谷:「そろそろ行くか。
じゃな、由姫 影虎」
由姫:「バイバイ。頑張ってね」
影虎:「また明日でござる」
ひらひら ×2(効果音)
由姫:「じゃ、帰ろっか 影虎」
影虎:「御意」
* * *
由姫:「…98 …99 …100!」
影虎:「はい、素振り終わりでござるな」
由姫:「うん。ふー…。
次は何やるの?」
影虎:「では、次は打ち込みを。
拙者が相手になるでござるよ」
由姫:「はいっ」
* * *
由姫:「セェイッ! ヤァッ!」
パァン! パァン! バシィン!
影虎:「姫、もっと速くでござる!
そう! 手の内を絞めて!」
由姫:「はいっ! セェーイ!!」
* * *
由姫:「はぁっ…はぁ…ぜはー…(汗)」
影虎:「では、今日はここまででござる。
お疲れ様でござるよ、姫」
由姫:「お疲れ様でした。(ぺこっ)
ふー… また影虎から一本もとれなかったなぁ…。」
影虎:「それは仕方ござらぬよ。
拙者これでも忍びでござるし」
由姫:「うー、そうなんだけど〜
負けっぱなしじゃやだ〜」
影虎:「(くすっ)
心配せずとも、姫ならすぐに強くなれるでござるよ。
本当に頑張っておられるし」
由姫:「うん、ありがと」
小助:「ウキ」[お疲れ]
影虎:「「小助?」」
小助:「キッキ」[タオルと飲み物持ってきた]
由姫:「わ、ありがとー 小助」
影虎:「ありがたい。
気が利くでござるな」
小助:「ウキキ」[今回は間違いなく酒じゃないぞ]
影虎:「あー… そんなこともあったでござるな」
あの時は危機一髪でござったな。
由姫:「ん? どうかしたの?」
影虎:「いやっ、何でもないでござる」
小助:「キー」[ちなみにこれはア○エリ○スね]
それにしても、本当に何故姫は酒を飲むとああなるのでござろうか?
弱いのか強いのかわからぬよ。
ゴクゴク…
由姫:「ふう、美味しかった。
それじゃ私 お風呂入ってくるね」
影虎:「左様でござるか。
拙者も後でそうするでござるよ」
由姫:「稽古の後はやっぱりお風呂だよねー」
影虎:「そうでござるな」
* * *
いい湯でござった。
影虎:「さてと、そろそろ拙者は離れに戻るでござるよ」
由姫:「うん、わかった。
また明日だね」
影虎:「はい。
では姫、おやすみでござる」
由姫:「うん。
…あっ、影虎」
影虎:「何でござるか?」
由姫:「えっと…
明日も頑張ろうね。
それと…
いつも一生懸命教えてくれて、本当にありがと…!」
ニコッ
影虎:「拙者は姫の“お役目”でござる。
喜んで頂けて、拙者 本当に嬉しいでござるよ」
そう言って拙者も微笑み返すでござる。
由姫:「うん…。
それじゃ、おやすみ」
パタパタパタ…
影虎:「『ありがと…!』…か。
本当に、最高の“姫”でござる…」
拙者、これからも姫の為に尽力いたすでござるよ。
あの笑顔があれば、拙者どんなことでも乗り越えられるでござる…!
〜END〜
―――あとがき―――
G―X:「こんにちは、皆さん!
G―Xです。
僕のことがわからない方はゲストブックを見てください」
影虎:「今回のゲスト、風雷の影虎にございまする」
G―X:「はい、来てくれてありがとうございます。
よろしくお願いします、影虎さん。
さて、この度 長い間やりたいと思っていた、KAGETORA二次小説に挑戦させていただきました」
影虎:「今回の『一日。』はどういったコンセプトなのでござるか?」
G―X:「タイトルからわかる通り、影虎さん達の日常を描いてみました」
影虎:「何故このような話を?」
G―X:「二次小説を書くのは初めてだったので、無理をせず、
まずはなるべく多くのメインキャラクターを動かしてみようと思ったのが理由の1つでした。
次に、いきなり波乱の話じゃキツいし、僕の好みで、
こういったほのぼのとした平和な日常を書きたいと思ったのが理由の2つ目です」
影虎:「そういう理由でござったか。
拙者もやはり姫と過ごせる日常は幸せでござるよ」
G―X:「そういった何気無いことが、実はとても大切なことなんじゃないかな、と思います」
影虎:「キツかった点などは?」
G―X:「そうですね。
やっぱり主人公とヒロインのラブコメ的な部分に力不足を感じます。
ラブ,コメディ どちらをとっても、非常に難しかったです」
影虎:「そういうことに関してはコメントしづらいでござるな…」
G―X:「基本的に僕が書くのはこんな風に平和な話だと思います。
でも、そのうち恋愛小説も書くかもしれません。
あ!もう一つ!
影虎さん、ござる言葉多すぎ!!」
影虎:「そうでござるか?」
G―X:「そうですよ!
書いてる方にしゃべり方が伝染っちゃいますよ!
ホントに!」
影虎:「ふむ。
それはそうかもしれぬが、ござる言葉なしでは書けぬでござろう?」
G―X:「そうなんですけどね〜。
次回は三人称で書いてみようかと思ってます」
影虎:「精進してくだされ」
G―X:「はい!
それではこの辺で…。
『一日。』読んでくださってありがとうございました。
感想・リクエストは掲示板の方へお願いします。
今回のゲストは主人公・影虎さんでした」
影虎:「読者の皆様に感謝の言葉を申しあげまする。
では、拙者は姫のところへ行かねばならぬ故…これにて御前失礼いたす」
G―X:「これからもどうぞよろしくお願いします!」
影虎:「お願いいたし申す!」
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