「空手道は漢のロマン?! 第三話」          「抜忍」さん作


チチ、チュン
「うっ・・・・・あ・・・ここは・・・?」
影虎の自室である離れで、飛鳥は和かな朝の日差しとスズメの鳴き声で目を覚ました。
「俺は・・・たしか・・・」
バッ!
飛鳥は起き上がり身の回りを確認し外に出る。
「ここは、まさかあの道場か?!」
「・・・!・・!」
どこからかかすかながら声が聴こえ飛鳥は辺りを見まわす。
(何だ?)
飛鳥は声のする方に向かって歩いて行くと道場に行きついた。
「道場?」
声と音のもとは道場の中からで、飛鳥は道場の中を覗くと。
「ハァ!ヤァ!タァ!」
「姫!手だけでなく全身の力で投げなければ決まらぬでござる」
「もぅ1回お願いします!」
そこでは影虎と由姫が柔道の練習をしているところだった。
(柔道の練習か・・・)
飛鳥はその練習を気付けば食い入るように見てる自分に気付く。
「あっ!飛鳥さん!起きたんだ」
練習をジーっと見ている飛鳥に由姫が気付き声をかける。
「あ、ああ。ってか俺はあの後どうなったんだ?」
「お主は気を失って、御頭首の取り計らいでここに居てもらうことになったでござる」
「・・・へっ、本来なら路上に捨ててただろうに何のつもりだ?」
「拙者にも御頭首の意図はわからぬが感謝いたせ」
「感謝だと?俺からすりゃ余計な世話なんだよ!俺に貸しでもつくったつもりか?!ア?」
「気に喰わぬことがあればそうやって喧嘩を売って、まるで子供でござるな」
「アァ?昨日の公園の続きをここでつけるか?オ?」
「言ったハズでござるぞ。命は大事にするものだと」
二人の間にピリピリとした緊張感がただよう。
「二人とも止めて!」
由姫は二人の間に割って入り、二人は構えをといた。
「これも昨日と同じ結末だな」
「命拾いしたでござるな」
「もぅ、影虎もやめて!」
「ちっ!」
飛鳥は影虎達に背を向けその場をさる。
「あ!飛鳥さん待って」
「姫!」
「影虎はちょっと待ってて」
由姫は影虎を待機させ、飛鳥の後を追って行った。

「飛鳥さん待ってってば」
「何だ」
「あのね・・・その・・・」
「言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
「あ、うん。・・・えーっと、どうしていつでもケンカ腰なのかな〜って思ってね」
「さぁな。どうしてって言われても昔からだしな。んなこと聞くために、俺を追って来たのか?」
「え?あ、うん。それにね、折角知り合ったんだから友達になりたいなって・・・」
「友達?わざわざ嫌いな奴と友達になりたいのか?」
「嫌い?」
「ああ、別に無理しなくてもいいぜ。なれてるしな」
「私、そんなこと思ってないよ」
「無理すんなって。昨日のこともあんのによ」
昨日飛鳥が藤堂家で影虎、沙耶、由姫に対して暴言を吐いたことを思い浮かべた。
「別に無理してないもん」
「信じれるかよ。他人なんて」
「人を信じてないの?」
「ああ。所詮は他人だからな」
「でもそんなんじゃ友達なんて出来ないよ」
「だから居ねーよ。別に欲しくもないしな」
「淋しくないの?」
「ガキの頃からそうだったからなれた。俺からすりゃ、信じれるもんなんて俺だけだ」
「そんなの淋しいよ」
「・・・・・・そうだな。淋しいっっちゃ淋しい。今はなれたが昔はやっぱ淋しかったさ」
「どうして人を信じれないの?」
「信じれないってか、気付けば周りと俺の間にはみぞができてたんだ。昔からケンカしかしてなかったしな」
「その時淋しいときはどうしてたの?」
「俺にあったのは血の気の多さと空手だけだった。淋しいときは体を鍛えて気分を紛らわしてた。そしたらまたケンカ。
そのくり返しだったっけ。アンタにはわからんよ」
「え?」
「多分、友達に囲まれてるんだろ?ひがみじゃないがアンタにはわからんだろうよ」
「ごめんなさい。私には確かにわからないよ」
「別に謝ることじゃないよ」
「うん。・・・飛鳥さんって強いね」
「は?」
「1人でもそんなに頑張れるし、空手だって強いんだもん」
「そういえばアンタさっきのは?」
飛鳥は先程まで由姫と影虎が柔道の練習をしているのを思いだした。
「ほら、私って弱いでしょ?でもね、私お母さんみたいに強くなってこの道場を継ぎたいの」
「・・・・・・」
飛鳥の頭の中で昨日由姫に対して「トロそうな娘・・・」と言ってるのが頭をよぎる。
「毎日練習してんのか?」
「うん。飛鳥さんもそうでしょ?」
「ああ。・・・・・・なぁ」
「な〜に?」
「・・・・昨日は・・・その・・・悪かった」
「え?」
「いや、トロイとか言って・・・アンタの気持ちも知らずに・・・すまん」
飛鳥はバツが悪そうに頭をかきながら視線をそむける。
「俺って・・・すぐ頭に血がのぼるし、感情に流されやすいから・・・」
由姫はそんな飛鳥を見て、ニコッと微笑んだ。
「うん。大丈夫。気にしてないから」
飛鳥もフッと笑った。
「不思議だな。アンタと話してたら普段言わないことが言っちまうなんてよ」
「ねぇ、やっぱり友達になろうよ。影虎とも仲良くして欲しいし」
「・・・・・・」
「いや?」
「・・・・・・多分、迷惑がかかるぞ」
「私は大丈夫だから」
「・・・・・その、ありがとう」
「クスッ。明日学校の友達と会うんだけど一緒にどう?」
「それは悪いぞ」
「みんないい人だから大丈夫だよ」
「ああ」
「それじゃ、ちょっと待ってて影虎呼んで来るから」
由姫が走ろうとしたとき、影虎の忍猿である小助がいた。
「あっ!小助」
「さっ猿!?」
「キッ!」[姫様、どうかされましたか?]
「しかも字も書けるのか!?」
飛鳥は混乱し、小助をジーっと見る。
しかしそれにおかまいなく話を進める1人と一匹
「小助。今から影虎のとこに行って来るね」
「キッ?」[影虎ならそこの岩陰にいたぞ」
「え?!・・・影虎!出て来て」
由姫は近くの庭岩に向かって言った。
「・・・御意」
影虎はしぶしぶ出る。
「もぅ!待っててって言ったでしょ!」
「申し訳ないでござるよ。しかし心配でしょうがなかったでござる」
「もぅ・・・じゃぁ、話は聞いてたでしょ?」
「はぁ、一様は」
「じゃぁ、これから影虎も飛鳥さんも仲良くしてよ」
「「・・・」」
二人は気まずそうな空気が走る。
「・・・えーっと、その昨日は悪かった」
その空気のなか、飛鳥は視線を足もとに向けあやまった。
「・・・・まぁ、お主の強さは認めよう。・・・風間 影虎だ」
影虎が手を差し出し、飛鳥もそれに答える。
「飛鳥 拳だ」
二人はがっちりと握手を交わした。


続く


あとがき

はいはいどうも〜
え〜っと今回のゲストは無しです。
いや、個人的にはまた由姫ちゃんを出そうと思ったんだけど、弁解をするために急遽キャンセルです。
さてさて今回ですが、え〜っと・・・ごめんなさい。
かなり展開が早いです。
書いていて「あんなにギラギラしてたのにもぅこれかよ!」
と突っこんでしまいました。
でもね、ズルズル行くよりマシかな〜って思って覚悟を決めたしだいです。
さて、弁解はこんなもんとして、今回アクションがなかったです。
どうも書きたらん!
しかも今回セリフばっかで読みにくい!
ああ、重要な話だったのに。
ってことで次回頑張ります。(次回があればね)エッ!?
そんじゃ、また感想とうは掲示板にてお願いいたしやす。



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