「空手道は漢のロマン?! 第五話」          「抜忍」さん作


飛鳥と影虎が語り明かした次の日の朝
「おはよ〜」
「おはようでござる」
由姫は出かける仕度を終え、離れに来ていて影虎達は玄関で話している。
「あれ?飛鳥さんは?」
その場に居ない飛鳥の事を由姫が聞くと、影虎は「それが・・・」と苦笑いするのだった。
「・・・拳はまだ、寝てるのでござるよ」
「拳?って飛鳥さんのこと?」
「そうでござる」
「ふーん」(影虎と飛鳥さん仲良くしてるみたい♪)
由姫はルンルン気分で影虎の後をついていくと、飛鳥の寝てる部屋にはいると、
「かぁぁあああああ・・・・ぐおおおおおおぉぉぉぉ・・・・」
飛鳥はいびきをかいて爆睡していた。
「こんな調子でござるよ」
「・・・う〜ん。もう少しで秋ちゃん達来ちゃうよ〜」
などと話していたら、
「由姫〜!おはよ〜!」
といった声が聞こえてくる。
秋ちゃん、桐谷達が来たのだ。
「飛鳥さ〜ん。起きて〜!」
「拳!起きるでござるよ〜!」
由姫と影虎が飛鳥を揺すっていると、
「・・う〜ん・・・・」
ゴンッ!とゆう音が響いたかと思うと、飛鳥の右裏拳が影虎の額にヒットしていた。
「いたぁ〜!」
「影虎!大丈夫?」
額を押さえる影虎を心配そうに由姫が見守るが、影虎は落ち着きを払って言った。
「姫、先に桐谷達と待っていてくだされ」
「え?」
「すぐに行くゆえお願いいたしまする」
「う、うん」
影虎は棚の中から細い筒を取り出しニヤリと微笑んだ。

「由姫〜おはよ〜!」
っと桐谷が由姫に抱きついた。
「オィッス!」
「おはよう」
「おはよ」
と小野、上条、生駒がそれぞれ挨拶する。
「みんな、おはよう〜」
「ところで由姫、影虎と昨日電話で話してた大阪から来た空手家は?」
「え〜っと、まだ離れに」
とそこまで説明した瞬間。
パン!パァァン!!
「ぎゃあああああぁぁぁぁ!!」
と離れから、けたたましい炸裂音と誰かの叫び声が響いた。
「「なっ!なんだ?!」」
「まさか、影虎?!}
由姫達は離れに向かった。

炸裂音のする数分前の離れ
「姫は行ったでござるな」
由姫が出て行ったのを見届けると飛鳥の布団に近づくと、筒に簡単な導火線を作ると火をつけて飛鳥の布団にそれも飛鳥の耳元にそれをいれた。
その瞬間、
パン!パァァン!!
飛鳥の耳元で爆竹のような炸裂音が響いた。(※よい子はマネするな)
「ぎゃあああああぁぁぁぁ!!」
「拳。朝でござるぞ」
影虎は冷たく微笑む。
「テメェ〜・・何しやがる」
「お主が時間になっても起きない上に、拙者の顔に裏拳をいれるからちょっとやそっとじゃ起きないだろうと思ってな」
「だから爆竹か・・・」
「うむ、仲間思いの拙者でござるな」
遠い目をする影虎に対し、恨みの目を向ける飛鳥。
「ようは隙をつかれた腹いせか〜」
「腹いせ?」
影虎もむっとした。
「ああ、やり手の忍者が隙を疲れて一発入れられたんだ。気持ちはわかるなぁ。まぁ、良い教訓だっただろ?まぁ、俺ならそんなヘマはしないけどな。影虎君」
悪意まんまんの笑みを浮かべていた。
「ほぅ・・・なればお主も良い教訓になったでござろう?」
「あぁ?」
「寝てる時は無防備でござったそ。拙者なら寝こみを襲われるなぞ、考えつかぬでござるよ。飛鳥 拳殿?」
影虎も悪意満々の笑みを向ける。
「言ってくれるやんけ」
「そちらこそ」
ぎゅぅ〜
飛鳥が影虎の右頬をつねる。
ぎゅむっ
影虎も負けじと飛鳥の右頬をつねる。
子供の喧嘩としか言いようのない争いが起きようとしてた時、
「もぅ!二人とも何してるの!」
騒ぎを聞き、駆けつけた由姫達面々がそこにいた。
「姫!」
「先に行っててって言ったから待ってたのに〜」
「申し訳ないでござるよ」
「ったくよ〜、人を起こすのに爆竹ってのはどこの悪ガキやね」
「飛鳥さんだって全然起きなかったのも悪いよ」
由姫の言い分に影虎も飛鳥も押し黙るしかなかった。
「・・・悪かったな」
とどこかとげのある声で影虎に手を出す。
「拙者も悪かったな」
影虎も陰のある笑みで手を握り返す。
最初にどちらから始めたのか、二人の握手はとてつもなく力がこもっていた。
「どうした?影虎〜?顔が引きつってるぞ」
「お主こそ。痛いなら手を離した方が良いでござるぞ」
「はぁ〜」と由姫と桐谷はため息をつき小野たちは、
「実はあの二人精神年齢が子供なんじゃね?」
とひそひそ喋っていた。

「んで?あれが大阪から来たってゆう・・・」
「うん。空手の武者修行で来た、飛鳥 拳さん」
「「へ〜」」
と桐谷や小野、上条、生駒は異句同音に答えた。
あの後、由姫に怒られた影虎と飛鳥は由姫達の後ろで
「藤堂って怒るとなんか迫力あるよな」
「うむ〜。血でござるかな」
と小さくなって仲直りしていた。
一向は街の繁華街を歩いていた。
「飛鳥ってさぁ大阪人なんだよな?」
「せやで?」
「うお〜スゲェ〜!」
などと騒いでいた。
「でも空手ってあれだろ?あんまり痛くないとか聞いたけど」
と小野の質問に由姫と影虎が凍りついた。
気性の荒い飛鳥のこと、そんな質問をしたら飛鳥がキレつのではないかと思ったからだ。
「いんやぁ。んなこたぁないぞ」
と、想像とは打って変わった意見が返ってきた。
「「え?」」
二人はすっとんきょうな声を上げた二人を飛鳥達は変わった目で見た。
「どないしたんや?」
「いや、拳がキレなかったのが不思議だっただけでござる」
「一体どんな目で俺を見てたんや?」
「「あははははは」」
「まったく。この手の質問にはなれてんだよ」
「そうなんだ」
「ああ。空手って言っても大きく分けて2種類あるんだよ」
「「へ〜」」
空手のことを興味津々で聞く由姫を初めとした小野、上条、生駒。
「まずは、一般的に主流になってるのがスポーツ空手やな。試合の勝敗はポイント形式で決められるもんだ。
KOとかは無いぞ。しかしスポーツ空手と言っても痛くないわけや無いで。面砲(メンホウ(顔につける防具)つけてても鼻が折れたりするくらいのもんやで。(※実話
最近ではオリンピックの競技に加わる話もあるしな」
「マジで?!」
「すげ〜」
「鼻が折れる・・・」
小野達は盛り上がり、由姫はちょっと引きつっていた。
「んでもう一つは、極心空手だな。つまりは実践空手や。これはK−1とか見てたら出てくるやろ?でも実はこれもポイントもあるんだぜ。
プロあたりからKOの話がでてくるんだよ」
「飛鳥さんって空手の話してる時、活き活きしてるね〜」
「そうか?」
「そうだよ〜」
「まぁ、昔っから空手ばっかやったしな〜」
「ってことは空手生活長いのか?」
それまで黙ってた桐谷が口を開いた。
「ん?ああ。まぁな」
「じゃあさぁ〜。あれやってくれよ」
ニヤリと笑い指差した先にパンチングマシーンが置いてある。
「空手家ならレコード出してくれよ」
飛鳥は苦笑いしていた。
「空手家やボクサー+パンチング=レコードってのは止めてくれねぇか?」
「「え?」」
全員が飛鳥の顔を見る。
飛鳥の性格なら喜んで暴れると思っていたから当然と言えば当然だった。
「いいか?あれはなぁ、コツなんだよコツ。下に押すように殴れば得点なんてある程度でるんだよ」
「「ふ〜ん」」
「すまんな?寂れた大阪人で」
「いや、気にするなよ」
っと皆が笑っている。
飛鳥達はお互いの笑い話などをしていたら昼時になっていた。

「アホか?飯の一番うまいとこは大阪道頓堀に決まってんやろ!」
「いやいや、東京の飯はうまいって」
「んなアホな!うどんなんて醤油の味しかせぇへんやん!」
「あれはいい味でてるぞ!」
「今度、機会があったら大阪のホンマモンのうどん食わしたるわ」
飛鳥はすっかり皆の輪に溶け込んでいて、食について討論を広げていた。
しかし、前から3人のガラの悪い連中が歩いてきたのを気づいていない。
そして飛鳥達が気づいた時遅く、小野とヤンキーはぶつかっていた。
いや飛鳥や影虎の目からしたらぶつかったのではなく、ヤンキーがわざとぶつかりに行っていたのだった。
「イテーなコラァ!」
「どこ見て歩いてんねん!」
「けんか売ってんのか?」
と、小野の胸倉をつかんだ瞬間飛鳥は動いた。
小野の胸倉をつかんでいたヤンキーの腕を捻り上げ投げ飛ばす。
「んじゃこらぁ!」
「ヤロォ!死にてぇのか?!」
飛鳥は地面に落ちていた空き缶を拾ってヤンキーを睨みつけた。
「って〜な!」
飛鳥に投げ飛ばされた男も立ち上がる。
まさに一色触発の状態になっていた。

 つづく


あとがき
はいは〜い!やっとこさ5話まできました〜!
今回のゲストは桐谷の姉御です〜
よろしく〜
ギリギリギリ〜〜〜
・・・あの〜・・姉御?
「何だ?」
なぜ自分の首を絞めてらっしゃるのですか?
「やっと登場できたと思ったら、アタシ、全然出てないだろ?」
だから自分の首を?
「当たりだ」
すいませんすいません。自分が逝く前に説明したいんやけど〜・・・
「あ?そんなんいんのか?」
早くしてください・・・あ、花畑が・・・
「わかったわかった。んで?今回の話は何だ?」
実は少しでも空手に対する勘違いや偏見をなくそうと思ったんやけど・・・
「けど?」
うまく内容がまとまりませんでした。
「用は?」
失敗ですね。
「アタシの出番の少なさは?」
・・・失敗か、っ!グブフゥ!!
「失敗じゃねぇだろ?」
はい。ごもっともで・・・
「アタシのファンだっているんだぞ?」
それは舞の旦那だ、っ!グアァ!!
「文句あっか?」
ありませんありません!鉄パイはやめて!
「ところで喧嘩の話になるんじゃなかったのか?」
はい。お察しのとおりの失敗ってか、読み違えたってか・・・
「つまりは」
はい。失敗です。
「んで?空手について語ってたけど?」
あぁ、あれは真実です。マジで。
「鼻が折れたってのも?」
はい。目の前で面砲(メンホウ)が血に染まってました。
「他には?」
右足の親指と人差し指の付け根がパックリと切れました。(蹴りで
「あんたの?」
後輩です。
「あんたは?」
え〜っと左上唇が裂けました。傷も残ってます。
「痛かったか?」
アドレナリンが出てたから痛くなかったけど、しばらくしたらめちゃ痛かった(涙)
「へ〜」
何ですか?
「他にあるならいっとけ」(ニヤリ
イヤ別に・・・
「あ?」(ギラリ
言いますから!鉄パイは!・・・左肘の骨にヒビ入りましたとも!
それでも練習したよ!気づけば直ってたし。
あと右拳が割れました。過呼吸にもなった。
うつ病にもなった(涙)
「ふ〜ん」
もう無いよ。マジで
「じゃぁ、最後にアンタは極心か?スポーツか?」
スポーツです。近くに極心道場なかったから。
「スポーツでそんな傷だらけ?」
おぅ!やから空手は痛い!
でも楽しい!
「あっそ」
え?
「興味ないよ。過去の傷をいじっただけ」
グボホォウ!
!!姉御!なぜ鉄パイを!?
「影虎が余計なこと言う前に黙らしとくように言われててな!」
共同戦線?
「当たりだ!!」
ぎゃあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
「え〜っとんじゃぁ、苦情は掲示板に書いといてくれよ〜」
   続く



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