「For three stories」          「鳥居 舞」さん作


カゲトラ・For three stories

1[リゾート・ライフ]

2[シー・オブ・マーダー]

3[動物コンビ]

あとがき

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ショートストーリーなので1話が、もの凄く短いストーリーになっています。

4コママンガみたいに、読んでくれると話が捉えられやすいかと・・・・。

色々イメージして読んでみて下さい。

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[リゾート・ライフ]

高校の昼休み、小野と生駒と影虎は少しだけのんびりと話をしていた。

退屈そうに小野が話し始めた。

小野「みんな、どっか将来住みたい場所って無いか?」

生駒「東京で十分じゃない?」

小野「俺・・・実は外国で暮らしたいって思うんだけど、どう思う?」

影虎「拙者はここで十分でござるよ!」

生駒「外国か・・・・で、小野はどこに住みたいの?」

小野「俺はそうだな・・・・・ローマが良いなあ・・・何か住みやすそう」

生駒「ローマか・・・・良いかもね!レトロだし海は綺麗だし」

影虎(正・ローマ「誤・労魔?」どこでござるか?魔って付く事は悪魔・・・?)

生駒「僕ならそうだなあ・・・・マイアミ辺りが良いなあ」

小野「マイアミか!そこも良いよなあ!観光地だし綺麗だし」

影虎(正・マイアミ「誤・舞網」?・・・・網って事は何かの漁でござるかな?)

観光地だけに話は、盛り上がり小野と生駒は笑っていた。

リゾート地の憧れは相当強く、言葉の違いなど関係なく自分の夢を託すかの様に、生駒と小野は盛り上がっていた。

食べ物、ファッションや建造物あらゆる物が宝石のように見えていた。

独り取り残されている様な感じになった影虎は、楽しそうな二人に首を突っ込む。

影虎「小野も生駒も大変でござるよ」

生駒・小野「何で?どうして?」

影虎「労魔は危険でござるよ、労は働き・・・・楽ではないでござるよ!そこは(労魔)がいるからでござるし、きっと働き地獄・・・・生駒の(舞網)も網にでも絡まれば大変でござる・・・・」

影虎の発言に誰もが、絶句した・・・・それもその筈、世界を知らないだけに小野も生駒もどうして良いのか解らない。

影虎の世界覧ってどんな風景を想像しているのだろうか?

もしも異国に旅立ったら影虎は、どうなってしまうのだろうか?二人は複雑な心境で苦笑いしながら顔を見合わせる。

少しだけ慌て気味な影虎を見て、小野がささやいた。

小野「影虎、それは全く違うぞ何故ならローマもマイアミにも魔物は居ない・・・・・ここを見ろ!」

そう言うと小野は、地図を取り出してローマもマイアミも指し影虎に説明した。

小野「影虎、お前の勘違いの暴走に過ぎないか?」

生駒「そうだよ・・・僕達はそこに行くんじゃないし、あくまでも憧れの場所だから・・・・」

影虎「あ・・・・・!」

勘違いに気付いた影虎、そこには寒さの様な空気が流れる。

恥ずかしそうな影虎を見ながら、そんな影虎でも、小野も生駒も「気にするな」と励まし影虎の肩を叩き慰めあった。

どんなに世界が違っても影虎達の友情は変わらない。

文化の違いと言うのを、社会で習うより身近に起きる事で少し学べる事を実感出来た瞬間でもあった。

そんな三人でも今もって、友達で居られる事が少しだけ素晴らしかったりするんだと感じた事が異国の地に立つよりも、何より暮らしやすいのかも知れない。

END

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[シー・オブ・マーダー]

桐谷と由姫と影虎は、街外れの某所の水族館のシャチのショーを観ていた。

トレーナーの声に合わせて舞い踊るシャチのトオル君。

それは楽しく観客を歓喜の嵐へと変えるものだった。

トレーナー「それではトオル君のジャンプを!皆さん合唱をお願いします!」

カウントダウンに合わせ、重さを感じさせない体長7m以上のトオル君は鳥の様に空高く舞った。

歓声は最大限に達し、着水に合わせて大きなシブキや波も発生しハイテンションなショーになった。

由姫「すごーい・・・シャチって凄いよね!」

身近に感じない生き物が、しかも指示通りに動く動物は感動物でファンタジック。

桐谷「しかし凄いショーだな!影虎どうだ?来て良かっただろう?」

影虎「桐谷のチケットのおかげでござるよ、姫も喜んでいるから楽しいでござるよ」

桐谷「そうか、そうか楽しいよなこういうのもたまには悪くないだろう」

由姫「秋ちゃんトオル君が手を振ってるよ!」

フィナーレを飾るべくトオル君は、観客に「バイバイ」とヒレを動かし振っている。

そんな光景はとても平和そのものだった。

桐谷「おー由姫の所にも手を振っているな、なら私も・・・・って、影虎も振れよ」

影虎「拙者は・・・・」

桐谷「由姫が楽しんでいるんだ、振れ・・・それとも・・・・?」

桐谷の鋭い視線は、影虎を刺し殺す勢いで迫ってくる。

影虎「あーわかったでござるよ!」

恥ずかしそうに影虎も、トオル君のパフォーマンスに答えて手を振った。

ショーは大成功に終り、帰り際に影虎が話をし始めた。

影虎「しかし、シャチは頭が賢いでござるよ、殺し屋と呼ばれていたがあんなに愛敬のある動物だとは知らなかったでござる」

そんな話に、桐谷は興味を抱いた。

桐谷「へーお前何か詳しいじゃんか、そんな事まで知っていたのか」

影虎「桐谷が思うほど、拙者はバカではないでござるよ」

由姫「影虎もシャチが好きなの?私はイルカとかシャチとか好きだなあ・・・」

影虎「姫もシャチとか好きでござるか、拙者も好きでござるよ」

由姫「そうなんだ、秋ちゃんは?」

桐谷「私は好きだぞ、こういうのは大好きで、だから由姫や影虎を誘ったんだから」

やや満足気な桐谷・・・次の瞬間桐谷は影虎に問いかけた。

桐谷「影虎・・・・・さっきシャチを(殺し屋)と言ったな?それどういう意味か解ってんのか?」

影虎「ああ!それは解っているでござるよ、昔から言われていた事でござるから」

桐谷「由姫、影虎、よーく聞けよ・・・シャチはな確かに殺し屋と言われて恐れられていた、それは古代から伝わる伝説だ・・・・色々な海の動物を襲いサメのように喰らい付く・・・さっきのトレーナーも今頃は・・・・・・」

可愛さに潜める恐怖のシャチの顔が、影虎の中では地獄絵図のようになっている。

お土産のシャチのぬいぐるみを使って、デスチャーをする桐谷は何か楽しそう。

そんな光景を見ていた影虎は、青ざめた表情で言った。

影虎「否!それはないでござるよ!」

桐谷「どうして言い切れる?お前・・・声震えているぞ」

図星だった・・・・・心配そうに由姫は桐谷に告げた。

由姫「秋ちゃんこんな事言って良いの?また騙されちゃうよ」

桐谷「いいの、あいつにはそう伝えておけば良いのさ気にするな・・・・ははは」

小声で面白そうに笑う桐谷に、由姫は影虎の側に行って告げた。

由姫「影虎、大丈夫?秋ちゃんの事だから心配しないでね」

影虎「姫!拙者は大丈夫でござるよ!心配は無用!」

少し心配そうな由姫に、桐谷は(カラかっておけるところはカラかっとけ)ばりに由姫に合図した。

別れてその夜、影虎は「シャチのトオル君」に襲われる夢を見た。

悪夢に近いその夢は誰も知る事は無かったと言う・・・・・。

緊張に近い状態で起き上がるとそこには、ひそかに由姫が「影虎へ」と買って渡された可愛らしい表情のシャチのお土産が影虎を見ている。

(まさかね・・・・)そう思う影虎は、指でシャチのぬいぐるみを突付いた。

それは、ゆらゆら揺れダンスを踊るシャチそのものの表情で影虎を見つめる。

そんなシャチのトオル君は、今日も水族館で華麗なジャンプを観客に見せていた。

END

注意・シャチが人を襲うなどと言う報告はありません。襲うなどについては人間が作り出した先入観や思い込みに過ぎないと言われています。

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[動物コンビ]

風間家の兄弟にはそれぞれ相方がいる。

志狼丸には狼の「那智」、鷹王には鷹の「神楽」が、そして影虎には虎ではなく猿の「小助」

何故自分の付いている名前の動物が自分には居ないのか、少しだけ疑問に思う影虎。

影虎「どうして、兄者や鷹兄にはそれぞれ名の相方が居るでござるか?どうして拙者だけ猿なのでござるか?(今の小助には悪いが仕方が無いでござるよ)」

鷹王を前にして、影虎は質問してみた。

鷹王「それは自分がそうしたのだから、今更言うな」

鷹王は鋭く冷静に答えた。

影虎は志狼丸にも同じ質問をしてみた。

以外に志狼丸は、優しく答えた。

志狼丸「それは影虎、虎が相方だったら大きくてお姫さんが怖がるだろう?猿だったらそんなに困らないし怖がりもしない、むしろ可愛いじゃないか!そうじゃないのか?」

影虎「もっともでござるが、やっぱり名前にある動物が欲しいでござる」

鷹王「聞き分けないな影虎・・・では実際にやってみるか?」

ドキッ!影虎には少し恐怖を感じていた、鷹兄の事立派な虎を持ってくると・・・・・。

鷹王「影虎、用意が出来たからここへ・・・・」

ヒヤッと背筋が凍る、恐る恐る振り向くとそこには、虎ならず猫・・・・それも三毛猫・・・・。

影虎「鷹兄、何でまた猫でござるか?虎ではないでござる(しかも何故三毛猫?)」

鷹王「虎の用意は出来ない、でも虎はネコ科の動物だから猫でやってみろ」

単純過ぎる・・・・でもそこで逆らったら逆に虎より怖い。

影虎「御意!代わりに小助を預かって欲しいでござる」

そう言うと小助を差し出し、小助はプラカードを上げた。

小助「何故じゃ?」「長い付き合いもここまでか?」

影虎「休暇でござるよ、少し休むと良い・・・・」

そう言いながら、三毛猫を鷹王から貰い去っていった。

鷹王は落ち着きながら(さて・・・上手く行くかな?)と茶の間に座った。

もちろん小助も一緒に座り、「今日は宜しく」などプラカードを上げた。

藤堂家の離れへと戻った影虎は、三毛猫の名前を考えたが浮かばず、翌日に考える事にした。

しかし、夜中は惨事と化した。

猫は夜行性、夜中はカツカツ走りまわり何かに取り付かれた様な感じで妙な鳴き声や、その他不明な行動をっとったりと、落ち着かない表情で影虎を寝かせはしない。

そしてギンギンに光る目は、恐ろしさに染まる勢いで影虎をさらに悩ませる。

そして昼間は夜とは逆の行動になった猫は、ゴロゴロ寝てばかり夜中の勢いなど微塵も感じさせない・・・・・こんな光景を見てさすがに影虎は、呆れるほど疲れた様子で鷹王の所へ戻った。

鷹王「なんだ影虎、やけに早いじゃないか、どうだった?相方は?」

影虎「最悪でござるよ・・・・・」

影虎は、夜中の事を話した。

鷹王「なるほど・・・・そうだったか・・・・なら小助と交換だ」

そういってあっさり小助と交換すると、小助はプラカードを上げて「昨日は何があったんだ?」と心配そうに問いかける小助の仕種は、影虎にとっても癒されるもの、そして一言呟く・・・「やっぱり相方は小助に限るでござる」と笑顔でその思いに硬く誓った。

そんな小助とのやり取りを見守る鷹王は、笑みを浮かべていつの間にか消えていた。

こうしてそれぞれに、相性という意味をよく知った影虎は毎日、これからも小助と共にお役目の仕事に積極的に取りかかる影虎だった。

狼は素早く、鷹は鋭く、そして・・・猿は優しく・・・・・。

忍者の術(すべ)として、そして時の友としてこれからも支えていく。

兄として見守る事、そしていつまでも続けて欲しいとそういう願いを込める鷹兄は、いつもよりも和やかな表情だった。

END

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あとがき

鳥居 舞のNovel第二作目「カゲトラFor three stories」です、最後まで読んでくれて感謝です。

何か小説じゃない感じで、面白くなかったらすみませんでした。

身近にあるようで無いような感じのものを考えて物語を作ってみました。

会話の臨場感を出したかったので、それぞれに名前を出しながら書きました。

チャットみたいで、「Novelっぽくない!」っていう方が居たらすみません・・・・・。

1話の[リゾート・ライフ]は、少し影虎のキャラを壊してしまいました。申し訳ない・・・・。

「労魔」とか「舞網」は単語として意味はありませんが、ちょっとしたファンタジーを加えて

ギャグ風に仕立て上げました。

外国に憧れを持つ事や、異国の地の文化など誰もが感じる夢見る事を書いてみました。

小野や生駒の会話にも、そんな夢があったかも知れません。

2話の[シー.オブ.マーダー]は、シャチの生態を取り上げてちょっとだけ現実と怖さを融合させました。

実際は人に襲い掛かる事などは、ないけど古来から伝わる伝統などあらゆる視点から、観察した物です。

由姫の出番がちょっと少なかったかな・・・・。

少しだけ桐谷の感情表現には少し苦労しました。

話のベースは、#26「2年目の浮気?」のイルカのショーが入っていたので、そんな話をメインとして作ったら面白そうだな・・・とか、自分の想像をそのまま形にしてストーリーを構成しました。

僕は、シャチやイルカのショーを観たことが無く「こんなだったら良いなあ」とか色々想像して、昔買った水族館の本とか、イルカのトレーナーの本とか、その他シャチ(オルカ)の参考書など見ながら楽しく書きました。

水族館はとても、ミステリアスで楽しい場所・・・・・そこには数々の魚達が待っている。

海とは程遠い僕の地元では、水族館に行く事すら遠い所。

その分色々な想像や楽しさが発見出来ました。

3話の[動物コンビ]は、僕が疑問に思った事をストーリーにしてみました。

影虎や志朗丸・鷹王を動かすのは、凄く苦労しました。

よく読んでいるのに、実際に自分で動かそうとすると難しいものですよね。

作家は凄い職業だと思う瞬間でした。

友達や相方など付き合う上での大切さなどのテイストを入れてみた作品です。

自分に合っていないとか不満を感じる事もある「付き合い」と言うのには、色々な意味を持つものなんだと思いました。

そんな複雑で難しいものを、少し客観的に見たのがこの作品です。

猫については、どの猫も夜中は走りまわり昼間は寝ているとは限りません。

あくまでも、僕の家で過ごしている猫を監察し話の材料として使いました。

3話のストーリーをすべて書き終えて思う事は、ちょっと強引な終わり方だなあって思う事です。

まだまだ、勉強が必要で経験も必要だと感じる事がありました。

1作目の「朝陽が昇る前に」に引き続き荒削りな作品に・・・・・・・。

こんな作品でも、最後まで読んでくれて本当に感謝しています。

次回も未定です・・・・一応思いついたらまた挑戦させてください。

それでは、また!今回も最後まで読んでくれて心からありがとう!



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