「朝陽が昇る前に」          「鳥居 舞」さん作


タイトル 「朝陽が昇る前に」

僕の全くのオリジナルストーリーです。最後まで読んでくれたら嬉しいです・・・・



本編

ある夏の夜、静かに時は流れ街は闇に包まれる。

星達は輝き、昼間とは違った空間を演出してくれるものだと・・・・・。

街の夜景の明かりが、ぼんやりと空を染める。

しかし、空の形だけが薄っすらと浮かぶ程度で、月光の方が強いくらいだ。

それは、静かなショータイムの時間に過ぎない。

時計が、12:30AMを回った頃由姫は大きな天体望遠鏡を庭に出しセットをし始めた。

その天体望遠鏡はとても立派な物で、由姫の顔ほどのレンズに、身長半分位の本体に長さは調度1.2m位はあるだろうか?そして三脚に固定して接眼レンズに眼をやりピントを調節し始めた。

一方、深夜の見回りをする影虎は、異体も知れない大きな白い筒状の物体に由姫が何やら覗き込んでいるのを見て影虎は、その由姫の行動に目を丸くした。

「姫は一体何をしてござるだろうか?何か悪いものなら拙者が助けに・・・・・」

しかし影虎は、しばらくその光景を見張った。

方向を変え調節リングに手をかざし、何かが見れたのだろう由姫は笑みを浮かべた。

その光景に不思議を思った影虎は、思い切って由姫のそばに行き質問をしてみた。

「姫!こんな時間に何をしてるでござるか?これは何でござるか?」

余りにも唐突だった質問に由姫は、少し驚きながら影虎の質問に答えた。

「あ!影虎!も〜ビックリするな〜」

「姫!すまない!で、これは一体・・・・」

「天体望遠鏡だよ、お父さんが使っていた物なの・・・・」

「天体望遠鏡・・・・星が見れると言う物でござるね?武弥殿のものでござるか立派なものを持っているでござる」

影虎は学校の理科の授業でならった「天体の動き」についての事を、必死に思い出していた。

「そうだよ〜たまにしか見ないけど凄く面白いよ!影虎も見る?今調度月を見ていたの・・・・・昔お父さんもこうやって見ていたよ。」

夏場だと言うのに、天体望遠鏡には綺麗な月がレンズを通し映し出されていた。

「武弥殿もこういう趣味があったのか・・・・・・拙者もちろん見るでござるよ!」

そういうと影虎は、由姫の指示通りに動き接眼レンズに片目を当ててみる、そこには白い半月が映し出されていた。

「・・・・・・・姫・・質問してよろしいかな?」

「何?どうしたの?」

「この月の表面に無数の穴らしきものが見えるがこれは何でござるか?」

「それはね『クレーター』って言うんだよ」

「ク・・・クレ・・・・」

「クレーター」と由姫

「クレーター・・・・クレーターとは何でござるか?」

「クレーターって言うのはね、隕石が月に表面に落ちて出来る現象だよ・・・簡単に言うと隕石の落ちた後がクレーターって言うんだよ、この前理科の授業でやったじゃない」

「あ・・・ああ!そうでござった面目ない・・・流れ星とかも一緒でござるか?」

「う〜んちょっと違うかな・・・・具体的な事は知らないけど・・・・」

「そうでござるが・・・・しかし姫どうして今頃こんな物を?」

「それはね・・・・明日学校休みだし少しは息抜きしたいなあって思って出したの」

「姫は稽古とかで日々頑張っているでござるからなあ・・・・・・」

うんうんと頷く影虎に、由姫は少し反論した。

「違うの!稽古はもちろん楽しいし、私もまだまだ強くなりたいし頑張らないといけない・・・・でも何かの悩みとかで起きているんじゃないの・・・ただお父さんの言葉を思い出したから・・・・」

「武弥殿の言葉?」

「うん・・・お父さんは今世界を飛び仕事をしている、その時お父さんは『由姫、嫌な時も嬉しい時も1日1回は空を見なさい』ってよく言っていた」

「私が『何で』って聞き返すとお父さんは『色々教えてくれるよ』って答えたきり行ってしまった・・・・私はその答えの意味が知りたくて今日望遠鏡を出してみたの」

「武弥殿はどんな意味を持ってこの言葉を残していったでござろう?」

縁側に座り話をしている、その影虎の質問のあと長い沈黙が続いた。

それには、影虎も何か言うわけでもなく、由姫を見守った・・・・夏場の夜中虫達の音色が響きわたる、それは虫の音色に染まっていくような気配すら感じていた。

街の様子も変わり始めているのを実感出来る位に、その音色は大きな物に感じる。

そして由姫が口を開いた。

「もしかしてお父さんは私達家族と離れているから、この星空は励みになっているのかなあ?」

「姫それはどういう意味でござるか?」

「私達の居るところは『地球』でしょう・・・朝陽が昇って夜になり、また朝が来る・・・・どんなに離れているお父さんも、きっと寂しい時があると思うの・・・・だから星空と言うのはどこでも見れるでしょ?同じ星に居るなら・・・・・」

由姫は明るい表情で話し始め、影虎はその話を必死に聞いている。

「だからお父さんの『空を見なさい』というのはきっと同じ空が見える分頑張れるって事じゃないかな?私もお父さんも同じ空を見る事で、近くに感じられる・・・・・だから寂しい思いをしないように私に告げたんじゃないかな?」

思ってもいない答えに影虎は・・・・・。

「姫・・・・・・・そんな事を思って今日は・・・・」

「あ!ごめんね!別にそういう意味じゃなくて何かそう思えるだけで別に根拠は無いけれど」

「姫!きっと武弥殿も毎日そういう思いで働いて励みになっているでござるよ!きっとそうでござるよ!だから姫も毎日頑張るでござる!拙者も姫の為なら全力で尽くすでござるよ!」

「ありがとう・・・影虎」

「拙者こそ良い勉強になったでござる!」

そう言って縁側で笑いあう二人に、和室の柱時計の鐘が鳴った。

「あ・・・・・・」

二人が声を合わせて振り向くと、時計は4:30AMを表示していた。

東の空は薄く深紅の空を演出し、虫の音色は小鳥達のさえずりに変わっていた。

新聞配達の音も聞こえてきている。

「姫・・・・今日はもう休むでござる 夜更かしは体に悪いから早く床に付くと良いでござる」

「うん・・・・影虎も今日は付き合ってくれてありがと」

「いや!拙者はたまたま見回りの時に発見して・・・・・」

「良いの私の話聞いてくれただけでも嬉しいから」

「姫・・・・」

すこしだけ顔を合わせ辛い影虎に対し由姫は天体望遠鏡を片付け一言告げた。

「おやすみ」

「ああ・・・・おやすみ・・・」

慌しく片付けて部屋に行ってしまった、由姫を見送った影虎は離れへと戻った。

こうして、たった4時間半のショータイムは幕を閉じた。

陸を超え海を越えて、届く思いこそこの中継をするのが「空」の役目なのかも知れない・・・・・。

そう思うだけで、頑張れる気がしていた事・・・・・・。

そして由姫の中にも、少しだけ近くに居るようになった武弥さんも何処かで頑張っているんだと思う由姫でした。

朝陽が昇る前に、少しだけ身近に感じる時を忘れないで過ごしていく、それが今なのかも知れない・・・・・・。

The END

あとがき

鳥居 舞初のKAGETORA版Novelです!

みなさんここまで最後まで読んでくれて、本当に感謝です!

国語の成績が悪い僕でしたが、何とか書きました!「ん?」って思う所もあるかも知れませんがどうか長い目で見てください・・・。

「朝陽が昇る前に」は自分がいつも感じていた事をストーリーにしました。

星空はどこの国でも同じ星座や月を見せる、だから例え遠くに離れていても身近に感じるだろうなあって思っていました。

そんな小さい願いでも何かロマンを感じたので書いてみました。

しかし荒削りのような感じになってしまったり、事実苦労したのが影虎の言葉でした!

これは本当の短編で1話完結物です。

次回作は未定です、これが最初で最後かも知れません。

僕も頑張って書きましたので、また一つ宜しくお願いします。

最後まで読んでくれて本当に心からありがとう!



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